高額療養費制度の見直しに関する声明
現在、厚生労働省では、高額療養費制度の見直しの議論がされていますが、この度の議論では、本年8月より各所得区分ごとの自己負担額の引き上げ、来年8月より外来特例の見直しが行われる内容となっています。本見直しは、受診抑制や治療中断が危惧され、その後の患者自身の生活に大きな影響を及ぼすことが予測されるだけではなく、受診控えによる医療提供体制側への影響も懸念され、議論が不十分だと考えます。
今後の人口動態を見据えた持続可能な社会保障制度の継続性を念頭におかれた議論であることは理解いたしますが、日々、医療機関を中心にソーシャルワーカーが受けている経済的な相談の中で、高額療養費制度が「がん患者等」の医療費負担軽減策の対象とならないことや対象期間が月ごととなることにより自己負担額が倍増する事例、感染拡大等の影響で入院期間が長引いた結果自己負担額の増加に繋がる例などが多数発生しています。
国民のいのちと生活を守る医療提供体制、社会保障制度の構築が求められる中、その目的は国民一人一人の健康増進、その人らしい生活を住み慣れた地域で続けることです。受診控えや治療中断はあってはなりません。今回の高額療養費制度の見直しはその目的と合致しているとは考えにくく、この度の高額療養費制度の見直しの再考をお願いするとともに当事者の実態を踏まえた制度構築を望みます。
2025年2月10日
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)
公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口 百香
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳
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旧優生保護法国賠訴訟の最高裁判決に対する声明
2024年7月3日、最高裁判所大法廷は旧優生保護法が憲法に違反するとして、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。日本国憲法の施行1年後に制定された優生保護法の違憲性が、76年の時を経てようやく確定した歴史的瞬間でありました。
日本ソーシャルワーカー連盟はこれまで、一連の旧優生保護法被害国賠訴訟に関して、旧優生保護法の下での優生手術は憲法違反であること、国策による「人生被害」に対し、20年という除斥期間を適用することは社会正義・公平に著しく反しており、被害者の尊厳回復と救済の実現を訴えてきました。
私たちソーシャルワーカーは人権と社会正義を原理とする専門職でありながら、過去においてこの著しい人権侵害に対して無自覚に加担してきたことも事実です。そのことを改めて猛省し、被害に遭われたすべての方々に謝罪申しあげ、未だ被害事実や救済の対象となることを知らされずにいる方々への情報提供や支援を行ってまいります。また、一刻も早い被害の救済・尊厳の回復に向けた補償制度の見直しを強く求めますとともに、今回の判決を契機として、日本における優生思想の払しょくに向けて更なる取り組みを進めていく所存です。
2024年7月10日
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)
公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口 百香
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳