日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)公式WEBサイト

2023年度

群馬県桐生市における不適切な生活保護行政に対する声明

私たち日本ソーシャルワーカー連盟(以下「JFSW」という。)は、さまざまな要因により生活上の困難を抱えた方の権利擁護と社会福祉の増進を共通の使命とするソーシャルワーカー4団体によって構成された連合組織です。

報道によれば、群馬県桐生市では、生活保護費を1日1千円ずつ窓口で分割支給し、本来支給されるべき生活扶助費の約半額以下しか支給していなかったことや、生活保護受給者などの認め印を1944本預かり、職員が書類に押印していたこと、また、受給者からの預かり証なども存在しなかった事実があるとされています。

生活保護制度は、最低生活の保障と自立の助長を図ることを目的として、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行う制度です。今回の報道が事実であれば、このような桐生市の生活保護行政は、生活保護の理念に照らして明らかに不適切、かつ生活保護受給者の権利を侵害するものであり、本件については、2023年12月15日付で、群馬司法書士会、群馬県社会福祉士会、群馬県精神保健福祉士会、群馬弁護士会の4団体連名による「生存権を守り、適法に生活保護を実施することを求める共同声明」が別紙のとおり、発出されています。

JFSWは、群馬県内4団体によるこの共同声明について、全面的な支持を表明するとともに、桐生市に対し、国民にとって「最後の砦」である生活保護制度が、専門性に裏打ちされた適切な運用がなされるよう要望します。

2023年12月27日

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)

公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口 百香
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳

(別紙)群馬県4団体共同声明「生存権を守り、適法に生活保護を実施することを求める共同声明」

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ムンター・アミラ氏の即時釈放要求について

ソーシャルワーカーであり人権擁護者であるムンター・アミラ氏の即時釈放を要求する声明が、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)グローバル本部から発出されました。

ムンター氏の拘束は、個人としての権利に対する侮辱であるだけでなく、世界中の人権擁護者としてのソーシャルワーカーの権利に対する広範な攻撃を意味しています。私たち、日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)は、国際社会、ソーシャルワーカー、人権団体に対してムンター氏の自由とすべての人々の人権尊重を主張する本声明を支持いたします。

2023年12月26日

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)

公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口 百香
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳

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IFSWは同僚のムンター・アミラ氏の即時釈放を要求します

2023年12月21日

私たちは、著名なソーシャルワーカーであり人権擁護者である私たちの同僚、ムンター・アミラ氏がイスラエル国防軍によって最近逮捕されたことを知り、非常に憂慮しています。12月18日未明、ベツレヘムのアイーダ難民キャンプの自宅からムンター氏が不当に逮捕されたことは、基本的人権と正義の原則の侵害です。

ムンター・アミラ氏は一貫して子どもと青少年の権利と尊厳を擁護し、彼らの自由と幸福を主張してきました。平和的な抗議活動と人権擁護に対する彼の取り組みは、ソーシャルワークの基本的価値観と一致しています。これらの原則はすべての人々の自主性と自己決定権を強調しており、ムンター氏の行動はこれらの理想を体現しています。

ムンター氏に対する逮捕の方法、その後の家族への虐待、不当な拘留は非常に憂慮すべきことです。彼の地域社会への献身は、アイーダ青少年センターの理事長としての役割や人民闘争調整委員会での活動からも明らかであり、他者に奉仕し向上させるという彼の揺るぎない決意を浮き彫りにしています。

私たちは、国連の「植民地と人民に独立を付与する宣言(Declaration on the Granting of Independence to Colonial Countries and Peoples)」に表明された感情に共鳴し、自決権と征服からの自由を再確認します。ムンター氏の逮捕はこれらの原則に全く反するものであり、国連憲章と世界人権宣言に謳われている価値観の無視を示しています。

私たちは、ムンター・アミラ氏をはじめ、意思に反して拘束されている他のすべてのパレスチナとイスラエルの人々の即時無条件釈放を要求します。ムンター氏の拘束は、個人としての彼の権利に対する侮辱であるだけでなく、世界中の人権擁護者としてのソーシャルワーカーの権利に対する広範な攻撃を意味しています。私たちは国際社会、ソーシャルワーカー、人権団体に対し、ムンター氏の自由とすべての人々の人権尊重を主張するために、協働を呼びかけます。

ムンター・アミラ氏の声は、正義、平和、人間の尊厳を訴える声です。彼を擁護するために、私たちは不正義に直面して声を上げます。私たちはムンター・アミラ氏と、平和的かつ非暴力的な方法で人権と社会正義のために勇敢に闘うすべての人々と連帯します。彼の即時釈放は、私たちが守る原則と、私たちが創造しようと努力している共通の未来にとって不可欠です。

ガザで続いている空爆に鑑み、我々はまた、即時停戦と平和構築プロセスの開始を求める確固たる姿勢を改めて表明いたします。この紛争の根本原因に対処し、この地域のすべての人々のための恒久的な平和と安全への道を開くためには、対話への一貫した関与とコミュニティ間の信頼構築が極めて重要であると考えます。

★IFSW声明原文は↓をご覧ください。
IFSW calls for the immediate release of our colleague Munther Amira

2018年に釈放された後のムンター・アミラ氏

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イスラエルとパレスチナのソーシャルワーカーとの連帯について

イスラエルとパレスチナのソーシャルワーカーとの連帯を表明する声明が、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)アジア太平洋地域小原眞知子会長、同ヨーロッパ地域会長アナ・ラドゥレスク会長の連名で発出されました。

私たち、日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)は、イスラエルとパレスチナのソーシャルワーカーとの連帯を表明し、この地域に迅速かつ永続的な平和が確立され、すべての人々の安全と幸福が確保されることを願う本声明を支持いたします。

2023年10月18日

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)

公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口 百香
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳

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(以下IFSWアジア太平洋およびIFSWヨーロッパ共同声明和訳文)

イスラエルとパレスチナのソーシャルワーカーとの連帯

2023年10月12日

イスラエルとパレスチナの人々は、現在、大きな喪失に極めて困難で心が痛む時を過ごしています。この地域で続く紛争は、苦しみと人道的危機を生み出し、多くの人々とコミュニティが逆境、恐怖、不安、深い喪失感に直面しています。

紛争の影響を受けているすべての人々にとって、今は計り知れない苦しみの時でしょう。愛する人を失って悲嘆に暮れる人々の数は、時間を追うごとに増えています。そして恐怖は刻一刻と増しています。

イスラエルとパレスチナのソーシャルワーカーもまた、この紛争の影響を受けています。しかし彼らは、社会的な相談援助に積極的に関わり、人道的危機に見舞われた人々を支援することで、専門家としての責務を維持しています。

この地域のソーシャルワーカーは、最前線で活動する中で、計り知れない勇気と思いやりを示し、現在進行中の紛争の影響を受けている人々やコミュニティの生活に大きな変化をもたらしています。離ればなれになった家族の再会、行方不明または死亡した親族を持つ人々の支援、紛争地域から避難してきた人々の支援、親が行方不明または死亡した子どもたちへの支援、必要な食糧が不足している地域で立ち往生している人々への必要不可欠な支援など、重要な役割を果たしています。

紛争の反対側にいるにもかかわらず、両国のソーシャルワーカーは、トラウマを抱える人々を支援しながら、同じ課題に直面しています。彼らの無私無欲の行動は、私たちすべてに勇気を与えるものであり、人間の尊厳を守り、ウェルビーイングを促進し、平和を維持するというソーシャルワークの基本原則の模範となるものです。

イスラエルとパレスチナの両国を代表しているIFSWヨーロッパおよびIFSWアジア太平洋の両地域として、この悲劇を乗り越えていくソーシャルワーカーを深く支援します。ソーシャルワーカーがレジリエンスと専門的なストレングスを維持できるように、この困難な時期に互いに支え合う方法を見つけることができることを願っています。

イスラエルとパレスチナのすべての市民の安全とウェルビーイングを確保し、この地域に迅速かつ永続的な平和が確立されることを切に願っています。私たちは、この地域に住む人々の日々の生活に、傷害や人命喪失の脅威が立ちはだかることのない近未来を心に描いています。

IFSWヨーロッパ会長 アナ・ラドゥレスク
IFSWアジア・パシフィック会長 小原眞知子

【原文(英語)】IFSWアジア太平洋およびIFSWヨーロッパ共同「イスラエルとパレスチナのソーシャルワーカーとの連帯」

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出入国管理及び難民認定法の改正に対する声明

政府は2023年3月7日に「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案」(以下、「改正法案」という)を閣議決定し、第211通常国会に提出されました。その後2023年6月9日に出入国管理及び難民認定法の改正法案が、参議院で可決され、改正法が成立しました。

この改正法は、難民認定申請者等の滞日外国人(非正規滞在者を含む)の人権擁護、保健・医療・福祉および生活保障の視点からみれば、不十分かつ憂慮すべき内容となっていることから、日本ソーシャルワーカー連盟はここに意見を表明します。

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出入国管理及び難民認定法の改正に対する声明

2023年6月9日、出入国管理及び難民認定法の改正法案が、参議院で可決され、改正法が成立しました。
この改正により、母国で迫害の恐れがあり「母国に帰れない事情」を抱えた難民認定申請者等を強制送還することが可能となりました。

これは、日本が締結した難民条約が保障する「難民の権利」を不当に侵害することに繋がり、「生命または自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放しまたは送還してはならない」という「ノン・ルフールマンの原則」(追放及び送還の禁止)に反する内容です。

私たち日本ソーシャルワーカー連盟は生命や身体が危険にさらされている難民認定申請者等の自由や権利を守ると共に、適切な保健・医療・福祉及び生活保障等の体制整備などの人道的な支援を行うことを要望します。

2023年8月7日

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)

公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口 百香
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳

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北海道江差町の社会福祉法人あすなろ福祉会における「不妊処置」に関する声明

私たち日本ソーシャルワーカー連盟(以下「JFSW」という。)は、さまざまな要因により生活上の困難を抱えた方(以下「クライエント」という。)の権利擁護と社会福祉の増進を共通の使命とするソーシャルワーカー4団体によって構成された連合組織である。2022年12月、北海道江差町の社会福祉法人あすなろ福祉会(以下「同法人」という。)が運営するグループホームにおいて、知的障害のある入居者に対して不妊処置を強制していたとの報道がなされた。報道を受けて北海道は同法人に対して2022年12月から障害者総合支援法に基づく監査を実施していたが、この度、2023年6月21日に同法人に対して運営改善を求めた指導をするに至っている。

北海道の監査結果によれば、「入居者への結婚や同居等に関する意思決定支援は不十分、かつ入居者からの相談の記録等が残されておらず、その運営には改善が必要」とされたものの、入居者20人のうち13人に対して行われた不妊手術について「強制」があったという事実は確認できず、利用者は自らの意思で処置を行うか否かを決めていたとしている。私たちソーシャルワーカーはこの北海道の監査に注視してきたが、今回の結果に加えて「意思決定支援が不十分」という事実は、その背景にサービス利用の選択肢がないという過疎地域ゆえの課題とも相まって、利用者が生きていくために法人側からの提案を受け入れざるを得ないという「選択不可的半強制性」の存在が危惧されることから、以下に見解を述べる。

JFSWに加盟するソーシャルワーカー4団体所属のソーシャルワーカーは、クライエントの意思を最大限に尊重し、本人の「自己決定」を保障する専門職であることを倫理綱領に掲げており、同法人の対応や同法人の理事長が「障害者が出産を望んだ場合はうちは支援できない」と公言していた事実は、利用者の自己決定を脅かす事態であり遺憾に堪えない。障害福祉サービスを提供する事業所は、厚生労働省が策定した「意思決定支援ガイドライン」(※)に沿って利用者への「意思決定支援」を推進することが求められており、それが「不十分」であったとされたことを同法人は真摯に受け止め改善に努めるべきである。

障害者権利条約では、「障害のある人が当事者の自由かつ完全な合意に基づき婚姻をし、かつ、家族を形成する権利が認められること」(第23条1(a))を明記している。これは誰もが有する当たり前の権利であり、社会福祉事業の運営者がこのことを蔑ろにする行為は決して許されない。

一方、今回の不妊治療をめぐる一連の報道に対して、インターネット上で障害者の結婚や出産、育児等についての差別的・否定的な発言の匿名コメントが後を絶たず、その一言ひとことが多くの障害当事者や家族を傷つけている。

私たちは、人びとの間に存在する内なる優生思想や差別意識にも真摯に向き合い、障害者の性や子どもの権利についての議論をさらに深めていく必要がある。なお、私たちソーシャルワーカー自身が、クライエントの結婚や出産を心から祝福し、その後の子育てや生活を本気で支援することができているか、誰もが障害者の結婚や出産、子育てを応援できる環境作りのために何をしているのか、と自問するべきである。

また、クライエントやその家族の権利を保障するために、地域のなかで必要な社会資源を創出することにより、どこに住んでいても人生の選択肢を広げられるような働きかけをしなければならない。今回発覚した事態が一法人に起きた固有の問題のみならず、地域全体、そして現代の日本社会全体の課題であるとの認識に立つ必要がある。

日本に生きるすべての人々の生命や尊厳の尊重と、それを育むことのできる家庭、地域社会の実現に向けて、私たちJFSWは今後も関係機関、関係団体、当事者や家族との連携の下に精力的に取り組む所存である。

2023年8月8日

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)

公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口 百香
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳

(※)「意思決定支援ガイドライン」によれば、意思決定支援とは、『自ら意思を決定することが困難を抱える障害者が、日常生活や社会生活に関して自らの意思が反映された生活を送ることができるように、可能な限り本人が自ら意思決定できるよう支援し、本人の意思の確認や意思及び選好を推定し、支援を尽くしても本人の意思及び選好の推定が困難な場合には、最後の手段として本人の最善の利益を検討するために事業者の職員が行う支援の行為及び仕組み』のことをいう。

お問い合わせの際は「JFSW事務局担当」とお伝えください。 TEL 03-5366-1057 受付時間 10時~16時(土・日・祝日除く)/FAX 03-5366-1058

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