平和社会の構築に向けたソーシャルワーカーとしての決意と呼びかけ(声明)
太平洋戦争終結から80年、日本社会は、あまりにも多くの戦争犠牲者と殺戮や破壊の惨劇の経験から、戦没者に対する鎮魂の思いと深い反省によって不戦を誓い、平和を希求する国民として戦争を遠ざけ、今日に至るまで、直接的な戦火や一人の戦死者も経験しない時代を過ごすことができた。
しかし、科学技術の進歩や人々の生活のグローバル化が大きく進み「地球家族」「地球市民」とも言うべき現在においても、未だに世界各地で戦争・争いの火は消えず、日々多くの命が失われ、しかも当事国の枠を超えた武力の応酬が世界を巻き込み、人類の滅亡にもつながりかねない危機的状況にあることは誰もが認識するところである。
戦争・武力闘争は、その時代の為政者、国権を司る地位にある者や集団によって引き起こされる人為的災害であり、その政治判断によって罪のない国民同士が無益に殺戮や破壊を行う場に他ならない。また戦争・武力闘争は、国民の命を守り福祉を標榜している為政者が、国の名において、国民の命・人権・人間としての尊厳を否定し殺戮の場に送るという、大きな自己矛盾を含む最悪の手段であることは明らかである。さらに、長い歴史の中で、多く為政者が人々の生活を根底から破壊し、取り返しのつかない悲しみと忍従を強いてきたにも関わらず、惨劇は衰えを見せず、未だに平和への道のりは遠い。この事実は、戦争・武力闘争がいかに無益であるかを証明するものであり、我々ソーシャルワーカー一人ひとりが改めて認識しなければならない。
我々ソーシャルワーカーは、すべての人の安寧を願い、地域社会の安定と世界の平和を希求する。また日々の営みや人々との協働においても、他者との喜びや平和的共存を求めることを基本とし、日々積み上げられてきた人類の英知・文化的活動の根底にある思いもまた人類の平和・安寧が基本的な目的であると確信する。
このような認識に立ち、我々日本ソーシャルワーカー連盟は、国際ソーシャルワーカー連盟の加盟団体として、同連盟の掲げる人権尊重と人間の尊厳の理念に従い、いかなる国家や政治集団であっても、人の命を犠牲にして武力で解決を図ろうとする手段には強く反対の意を表明する。同時に、世界各地で繰り広げられる武力の行使・戦争に強い反対の意を表明し、速やかな停止と対話によって解決を図ることを強く要求する。そしてソーシャルワーカーの名において、いかなる場面においても、暴力を退け平和の擁護に徹することを明言する。
さいごに、本連盟は、終戦から80年の節目にあたり、あらためてソーシャルワークの固有の価値と世界のソーシャルワーカーとの連携の必要性を再認識し、平和の擁護・恒久平和の確立に向けた取り組みの一層の強化と最善の努力を誓う。すべての為政者は国民と共に、国家による暴力や武力の行使がいかに無益であるかを歴史に学び、戦争の放棄に向けた取り組みを行うよう要求する。
2025年8月15日
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本社会福祉士会 会長 山下 康
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 早坂由美子
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳
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生活保護基準引き下げ訴訟に関する最高裁判決についての声明
2025年6月27日、最高裁判所第三法廷は、2014年以降に全国29の地方裁判所に提訴された生活保護費減額の取消しを求める裁判のうち、大阪訴訟と愛知訴訟に関して原告勝訴の判決を下しました。私たちソーシャルワーカーはこの判決を高く評価します。
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)は、一連の訴訟のうち初の地裁判決となった2020年6月の名古屋地裁の原告敗訴判決に対して声明を発出し、判決内容は到底容認できるものではないことを表明するとともに、今後の判決において、三権分立のなかで憲法第25条が規定する生存権保障の理念が体現される司法判断が適切になされることを強く望みました。
この間の一連の裁判においては、地方裁判所や高等裁判所によって判断が異なり、原告の皆さまには、苦しい生活状況にあって忍従の日々を送られてきたこととお察しします。10年を超える時を経て、今回の最高裁判決が法による正義の実現という司法の役割を存分に果たしたことを心から歓迎します。また、長年にわたって闘ってこられた全国の原告の皆さまに心より敬意を表します。
国においては、亡くなられた原告を含め、当時減額の対象となったすべての生活保護利用者に、減額分の遡及などの補償が速やかに行われることを強く望みます。
私たちJFSWは、一日も早く「健康で文化的な生活」を取り戻すことができるように一人一人へ寄り添い続けます。
2025年7月9日
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本社会福祉士会 会長 山下 康
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 早坂由美子
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳