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2017年度

生活保護基準額の引き下げに反対する緊急声明

2017年12月19日

日本ソーシャルワーカー連盟
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本民夫
公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島善久
公益社団法人日本医療社会福祉協会 会長 早坂由美子
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠
一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟 会長 白澤政和

私たちソーシャルワーカーは、社会福祉分野において、子ども、障害者、患者、高齢者などが抱える多岐にわたる生活課題の解決に向けた支援を行う専門職として、社会保障制度の根幹をなす生活保護制度の堅持を求めるとともに、生活保護基準額の引き下げに反対します。

本年は5年に1度実施される全国消費者データを用いて生活扶助基準の検証を行う年に当たり、社会保障審議会生活保護基準部会において、生活扶助基準に関する検証、有子世帯の扶助・加算に関する検証等の結果が示されました。報道によりますと、来年度より生活扶助基準本体や母子加算が引き下げとなり、大都市部を中心に高齢者世帯や子どものいる世帯の生活保護費が最大5%減となる見通しとのことです。

基準引き下げの算定方式を全国消費実態調査に基づいた年収階級第1・十分位との比較する検証手法については課題があることは報告書にも示されています。基準引き下げの算定方式を年収階級第1・十分位との比較検証によるものとすることは、2013年度の生活保護基準部会報告書に鑑みても妥当性を著しく欠くものであり、かつ、生活保護の捕捉率の低い状況下で低所得層と比較することは引き下げの明確な根拠になり得ません。また、それまで比較検証の指標とされてきた消費者物価指数を、2013年度から厚生労働省が独自の「生活扶助相当CPI」に突然変更したことも合理的な説明が不十分と考えます。

私たちソーシャルワーカーは、日々の業務の中で、生活保護を受給している高齢者や子どものいる世帯に出会います。冠婚葬祭の付き合いもままならぬなか、生活費を切り詰めて生活する人々が存在しています。地域の中で孤立する場合もあり、生活水準の差が人と人との交流を妨げている状況もあります。生活困窮している単身高齢者の増加や貧困の連鎖を生んでいる家庭環境や養育能力の課題は深刻で、課題解決に向けてソーシャルワーカーは支援しています。

生活保護基準の引き下げは、国民健康保険料や介護保険料の減免、高額療養費の限度額、介護料の高額サービス費、最低賃金等々にも影響するものであり、生活保護受給者や生活困窮者の生活をさらに厳しくしていくものであり、健康で文化的な最低限度の生活を脅かすものであり、貧困のスパイラルから抜け出すことを困難にするものです。

すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活が営めるよう、社会保障制度の根幹をなす生活保護制度の堅持を求めるとともに、生活保護基準額の引き下げに断固反対します。

ロヒンギャ民族に対する重大な権利侵害に対する声明

2017年11月9日
日本ソーシャルワーカー連盟

私たち日本ソーシャルワーカー連盟は、ソーシャルワークの価値と倫理に則り、ロヒンギャ民族に対する重大な権利侵害に対して以下の声明を発する。


ミャンマーでは、数十万から100万人程度と推定されているロヒンギャ民族に対する武装勢力による襲撃やキャンプ環境の劣悪さなどが起因して、国外脱出を図るロヒンギャ民族が後を絶たない。ユニセフは、「暴力から逃れるために、ミャンマーのラカイン州からバングラデシュに逃れてきたロヒンギャ難民は50万人以上」であるとし、そのうち6割が子どもであり、彼らが生命の危機にさらされていると警告する。

日本政府も、河野外相が「現地の人権人道状況に深刻な懸念」を表明し、ミャンマーや難民を受け入れているバングラデシュの政府に対し、約400万ドルの支援を行う方針を提示した。このことは当然に評価するべきことである。

他方で、このロヒンギャにかかる問題は、ミャンマーの憲法下において、国軍勢力が軍と警察を掌握していることなどによる国内の政治構造から端を発している背景があるものの、自国における改善の兆しが見られないばかりか、日本にもロヒンギャ民族の来日があるように、周辺諸国を巻き込んだ明らかな国際問題と化していることも事実である。

この様な観点から、日本ソーシャルワーカー連盟は、本問題に対する国際社会における関与を日本政府が主導することを求めるとともに、東アジア及び広く国際社会に対して、この重大な権利侵害からロヒンギャ民族を守るための措置を講ずることを求める。

また、国際ソーシャルワーカー連盟に加入する私たちは、国際社会との連帯をはかりこの問題に対する働きかけを続けていくことをここに表明する。


日本ソーシャルワーカー連盟は、社会正義と人権尊重の価値に則り、人びとの権利擁護の実践を展開する4つのソーシャルワーカー団体(特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会、公益社団法人日本社会福祉士会、公益社団法人日本医療社会福祉協会、公益社団法人日本精神保健福祉士協会)によって構成された組織である。4団体が採択するソーシャルワーカーの倫理綱領においては、「社会に対する倫理責任」を以下のとおり明示している。

  1. (ソーシャル・インクルージョン)
    • ソーシャルワーカーは、人々をあらゆる差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などから守り、包含的な社会を目指すよう努める。
  2. (社会への働きかけ)
    • ソーシャルワーカーは、社会に見られる不正義の改善と利用者の問題解決のため、利用者や他の専門職等と連帯し、効果的な方法により社会に働きかける。
  3. (国際社会への働きかけ)
    • ソーシャルワーカーは、人権と社会正義に関する国際的問題を解決するため、全世界のソーシャルワーカーと連帯し、国際社会に働きかける。 

お問い合わせの際は「JFSW事務局担当」とお伝えください。 TEL 03-5366-1057 受付時間 10時~16時(土・日・祝日除く)/FAX 03-5366-1058

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