2023年7月31日(月)から8月2日(水)まで来日の、国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)のローリー事務局長(Dr. Rory G Truell)による講演会が、7月31日(月)17時より、公益社団法人日本社会福祉士会事務局(東京都新宿区)にて開催されました。日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)からは、JFSW国際委員を中心に28名(うち3名はリモート参加)が出席しました。

まずローリー事務局長からIFSWへの日本の貢献について、謝辞が述べられました。その際、「IFSWの書庫からとても貴重な資料を見つけた」と、1967年当時の日本ソーシャルワーカー協会からの報告書を、披露してくださいました。「この時代からずっと日本からの貢献は続いている。このことにも尊敬と感謝の意をお伝えしたい」とのことでした。

その後、日本からのウクライナ難民支援活動等への義援金の使途の例として、ウクライナで撮られた「コミュニティ・ストア」の写真が紹介されました。人道的支援とソーシャルワーク的視点での支援の違いなどにふれながら、コミュニティ・ストアの仕組み、目的、効果などが話されました。

「支援物資が届くことはもちろん大切だが、人々は『支援を受ける人』でいることを望んでいるわけではない、ということを、私たちソーシャルワーカーは知っている。人は自分で生活したいのだ」と語っていました。また、ウクライナのコミュニティ・ストアで出会った女性たちの様子が伝えられました。「夫や息子を戦争に駆り出され、残された途方に暮れている女性たちに、まずは家からミシンを持ってきてもらい、洋服や生活用品を作るところから始めた。その女性たちに電気工事や配管なども教え始めた。そうして自分たちの作ったものや作業でコミュニティに貢献すると、バウチャー(商品交換券)をもらえ、それを持って支援物資をコミュニティ・ストアで『買う』というシステムにしたところ、それまで暗かった女性たちの表情がみちがえるように明るくなった。活躍の機会をつくることが、人びとの活力につながるのだ、と証明された実践の場であった」というエピソードが印象的でした。

約45分の講演の後、参加者との質疑応答に移りました。ある参加者から「日本ならではの貢献がもしあれば教えてほしい」との質問がされた際には、「災害時のソーシャルワークの知見」と答えられました。被災後だけではなく、日常の防災の段階から、また被災後も被災直後、被災から一定の期間が経ったときと、そのそれぞれの段階でのソーシャルワークの知見や経験において、日本に勝る国はないであろうと話されました。質疑応答後、18時半ごろに集合写真を撮り、閉会となりました。

(文責:事務局)