香港・マカオ救世軍社会サービスのグループ(10名)が2019年6月9日から15日まで来日、日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)では情報交換の場の設定や、生活困窮者自立支援と就労支援にかかわる政策動向とサービスの実際にかかる機関訪問の調整役を担いました。

救世軍は、英国を起源として誕生し、香港では10指に入るサービス機関です。香港・およびマカオにおいては80に及ぶサービスを20のコミュニティで展開しています。サービスの特徴は、クライシスに直面している人々のニーズに応え、利用者とコミュニティでのウェルビイングを目指し、子ども、青少年、女性、成人、高齢者、障害者をふくみ、貧困、精神的クライシスにある人々への支援を行っています。

香港救世軍は、国際研修はスタッフが比較の視点、文化を超えて応用性を検討する上で、スタッフの海外研修は有益であるとの理念に基づき、2~3年ごとに海外研修を組織の予算で実施しています。こうした研修は、日本では、近年実施の機会はほとんど存在しないと推察されるため、非常に貴重であるとの印象も受けました。

今回の訪問依頼では、若者、女性、成人対象に対する貧困問題、雇用創出、就労支援を含む日本の政策とサービス動向に焦点をあて、行政を含む機関訪問についての調整依頼がありました。また、日本の専門職組織については、専門職の資質向上に関わる専門委員会の機能および加盟組織が対応している生活困窮・自立支援にかかわる活動と検討課題について情報提供の依頼を受け、JFSW代表者会議の了承を得て、機関訪問調整と情報交換会が実現しました。

機関訪問は、1)埼玉県草加市生活困窮者自立支援プログラム、2)東京渋谷わかものハローワーク、3)川崎市ダイジョブセンターの雇用支援プログラムの3か所にて、行政の流れと専門職による現場の支援状況の説明を受けました。また、情報交換会では、1)メンタルヘルス課題をもつ人々の就労支援とハローワークの連携(日本精神保健福祉士協会)、2)日本精神保健福祉士協会の生涯研修制度の説明、3)災害支援を含む日本医療社会福祉協会の取組み、4)認定社会福祉士の養成カリキュラムの説明(日本社会福祉士会)が行われた後、双方の専門職養成の仕組みについて議論がなされました。異なる文化をもつ国々の制度や実践経験について国際比較の視点を持って意見交換を行うことの意義について香港のグループからの言及があり、改めて、国際的な意見交換の意義を確認しました。

ご協力いただきました皆様に感謝申しあげます。

(文責:木村真理子/JFSW国際委員長)

香港・マカオ救世軍日本訪問メンバーとJFSW国際委員会