ソーシャルワーク専門職のグローバル定義のアジア太平洋地域における展開
アジア太平洋地域は多くの異なるコミュニティと人々を代表している。本地域は、地域内移住に加え、地域固有及び植民地化の歴史によって形成されてきた。世界で最も豊かな国々の一部に加え、経済的に最も困窮している国々の一部もこの地域に含まれている。異なる宗教的・哲学的・政治的な視点をもつ西洋と東洋、また南半球と北半球が交わる地域である。気候変動、限りある資源の濫用、自然災害及び人災による深刻な影響を受けてきた地域でありながらも、地域内の人々のストレングスとレジリエンス1が繰り返し示されている。
アジア太平洋地域におけるソーシャルワーク専門職は以下を重視する:
- ニーズが満たされ、人権と尊厳が守られることにより、全ての人々に適切な社会的な保護が提供されることを保障するにあたり、我々専門職によるケアと共感を実現する
- 人々の生活における信仰、スピリチュアリティまたは宗教の重要性を容認し、また様々な信念体系を尊重する
- 多様性を賞賛し、対立が生じた際に平和的な交渉を行う
- ソーシャルワーク実践において、クリティカル2で、研究に基づく実践/実践に基づく研究の諸アプローチと共に、地域内の民族固有の知及びローカルな知と営みを肯定する
- 環境保全において革新的で、持続可能なソーシャルワークと社会開発実践を推進する
1)困難や苦境に直面しながらも平衡状態を維持する能力とされ、「復元力」「精神的回復力」「抵抗力」「耐久力」などと訳されることもある。
2)クリティカルとは、実践を科学的・合理的見地から吟味し、また検証を加え、常に最良の実践をめざすことを意味する。
2016年6月ソウルにおける国際ソーシャルワーカー連盟アジア太平洋地域(IFSW-AP)総会及びアジア太平洋ソーシャルワーク教育連盟(APASWE)総会において「アジア太平洋地域における展開」を採択。日本語訳の作業は社会福祉専門職団体協議会と(一社)日本社会福祉教育学校連盟が協働で行った。2016年11月14日、IFSW-AP及びAPASWEとしての日本語訳「アジア太平洋地域における展開」を決定した。
社会福祉専門職団体協議会は、(NPO)日本ソーシャルワーカー協会、(公社)日本社会福祉士会、(公社)日本医療社会福祉協会、(公社)日本精神保健福祉士協会で構成され、IFSWに日本国代表団体として加盟しています。
Proposed Amplification for Asia Pacific Region-October 22, 2015
The Asia Pacific region represents many different communities and peoples. The region has been shaped by its migrations and indigenous and colonising histories. It contains some of the richest and some of the most economically deprived nations. It is a region where East meets West, and South meets North with differing religious, philosophic and political perspectives. It is a region that has been severely impacted by climate change, overuse of finite resources, natural, and human-made disasters, yet the strength and resilience of its peoples have been demonstrated over and over again.
Professional Social work in the Asia Pacific Region has an emphasis on:
- Realizing the care and compassion of our Profession in ensuring that all people are provided with adequate social protection so that their needs are met and human rights and dignity safeguarded;
- Recognising the importance of faith, spirituality and/or religion in people’s lives and holding respect for varying belief systems;
- The celebration of diversity and peaceful negotiation of conflict;
- Affirming the region’s indigenous and local knowledges and practices alongside critical and research-based practice/practice-based research approaches to social work practice and,
- Encouraging innovative, sustainable social work and social development practices in the preservation our environment.