2024年8月18日から23日にかけて、IFSW事務総長のRory Truell氏、IFSWヨーロッパ地域会長のRuth Allen氏とともに、トルコのアディヤマン、ガジアンテプ、ハタイ、そしてアンカラを訪問しました。この視察の主な目的は、2023年に発生したトルコ・シリア地震後のソーシャルワーカーたちの活動を視察し、その現場の支援状況と成果、今後の課題などを確認することにありました。特に、JFSW(日本ソーシャルワーカー連盟)が義援金を寄付したことを受け、その寄付金がどのように現地で役立てられているかを確認すること、現在、日本とは国交のないシリアへの支援方法を検討するためでもありました。
視察団のメンバーは、まずアディヤマンにあるコミュニティセンターを訪問し、SHUDER(トルコソーシャルワーカー協会)との協力関係を確認しました。そこで現地のソーシャルワーカーたちが震災後に行った支援活動についてのプレゼンテーションが行われ、私達は彼らその努力と情熱に深く感銘を受けました。中には、過酷な状況の中で命がけで活動を続けるソーシャルワーカーたちの話もあり、ソーシャルワーク支援の重要性を再確認しました。
アディヤマンでの視察の後、私たち一行はガジアンテプやハタイにも足を運び、地方政府の施設や地元のNGO、また地震被災地での支援活動に従事するソーシャルワーカーたちとの面談を行いました。特にハタイでは、災害後のメンタルヘルス支援や、女性や子どもたちのための活動が強調されました。また、女性連合が設立した「女性の生活センター」を視察し、災害後のコミュニティの再建に果たしている役割が重要であることや、IFSWや世界中の支援団体が一丸となって、トルコ・シリアの復興支援に貢献していることを再認識しました。最終日には、アンカラにおいて災害ソーシャルワークのシンポジウムが開催されました。私は、これまで13年間、日本医療ソーシャルワーカー協会が行ってきた石巻での支援から学んだことを伝えました。
今回の視察を通じて、トルコのソーシャルワーカーたちが地震後に直面している困難や、限られたリソースの中でどのように支援を続けているのかを目の当たりにしました。彼らの活動が、JFSWからの寄付金を受けてさらに充実した形で行われていることが確認され、視察団はその成果が今後さらに発展することを確信しました。
今回の視察内容は、日本国内のソーシャルワーカーにも重要な学びの機会を提供するものとなりました。災害時のソーシャルワーカーの果たすべき役割、そして国際的な協力の意義について再認識する機会できました。また、これまで日本のソーシャルワーカーが行ってきた災害支援が世界で生じている災害支援に役立つものであり、そのリーダーとして活躍していただきたいと心から願います。JFSWは、今後も国内外での支援活動を続け、ソーシャルワーカーたちのグローバルな連携をさらに深めていくことを期待しています。
2024年10月3日
小原眞知子(IFSWアジア太平洋地域会長・JFSW国際委員)
<参考>
- 【ご報告】<更新>トルコソーシャルワーカー協会・シリアソーシャルワーカー協会によるトルコ・シリア地震被災地支援活動への義援金状況(2023年5月31日現在)
- トルコソーシャルワーカー協会・シリアソーシャルワーカー協会によるトルコ・シリア地震被災地支援活動への義援金募集について(お願い)