日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)は、10月6日に日本ソーシャルワーク教育学校連盟研修室(東京都港区)において、「虐待のない社会」をめざして、子どもの虐待防止に取組む現場のソーシャルワーカーによる話題提供をもとに、参加者によるトークセッションを中心とした緊急企画を開催しました。

本緊急企画は、JFSW会長で日本精神保健福祉士協会会長の柏木一惠氏からの児童虐待防止には新しい資格ではなく現場のソーシャルワーカーが子どもと家族を支える地域をつくることが重要であるとの開会挨拶から始まりました。

続けて、ソーシャルケアサービス研究協議会代表の白澤政和氏から、同協議会が児童虐待防止に取り組んできた経過を報告しました。白澤氏からは同協議会がとりまとめた『児童福祉司の質の確保及び向上に関する提案』にもとづき、児童虐待の防止には新たな資格ではなく、社会福祉士や精神保健福祉士のソーシャルワーカーの質を確保し向上させることが重要で、その方法として養成カリキュラムの充実や認定社会福祉士制度の活用等を提案しました。

その後、立正大学准教授の鈴木浩之氏による「サインズオブセイフティについて」をテーマとした講演、そしてトークセッションは、スピーカーとして日本ソーシャルワーカー協会から川和児童ホームの小山菜生子氏、日本精神保健福祉士協会から杏林大学医学部付属病院の加藤雅江氏、日本社会福祉士会から岩手県福祉総合相談センターの米澤克徳氏、コーディネーターとして日本医療社会福祉協会会長の早坂由美子氏が登壇しました。それぞれの登壇者からの現場からの報告やフロアとのやりとりを通して、単に目の前の虐待だけに対応するのではなく、その背景にある家族や地域の課題などソーシャルワークの重要性が指摘されるとともに、資格があれば良いのではなくキャリアの重要性や研修の充実などといったことが必要であることを確認しました。

最後に早坂氏からフロアの参加者に対して、児童分野の新資格について意見を聞いたところ、9割以上が反対の意思表明を行いました。

閉会の挨拶では、日本社会福祉士会会長の西島善久氏から、児童虐待防止に向けた支援のベースにはソーシャルワークがあること、これは資格があれば良いのではなく私たちソーシャルワーカーが常に自己研鑽を重ね実践につなげ、社会的認知を獲得する必要があると結びました。

(文責:日本社会福祉士会 小笹知彦)