生活保護基準引き下げ訴訟に関する最高裁判決についての声明

2025年6月27日、最高裁判所第三法廷は、2014年以降に全国29の地方裁判所に提訴された生活保護費減額の取消しを求める裁判のうち、大阪訴訟と愛知訴訟に関して原告勝訴の判決を下しました。私たちソーシャルワーカーはこの判決を高く評価します。

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)は、一連の訴訟のうち初の地裁判決となった2020年6月の名古屋地裁の原告敗訴判決に対して声明を発出し、判決内容は到底容認できるものではないことを表明するとともに、今後の判決において、三権分立のなかで憲法第25条が規定する生存権保障の理念が体現される司法判断が適切になされることを強く望みました。

この間の一連の裁判においては、地方裁判所や高等裁判所によって判断が異なり、原告の皆さまには、苦しい生活状況にあって忍従の日々を送られてきたこととお察しします。10年を超える時を経て、今回の最高裁判決が法による正義の実現という司法の役割を存分に果たしたことを心から歓迎します。また、長年にわたって闘ってこられた全国の原告の皆さまに心より敬意を表します。

国においては、亡くなられた原告を含め、当時減額の対象となったすべての生活保護利用者に、減額分の遡及などの補償が速やかに行われることを強く望みます。

私たちJFSWは、一日も早く「健康で文化的な生活」を取り戻すことができるように一人一人へ寄り添い続けます。

2025年7月9日

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)

公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本社会福祉士会 会長 山下   康
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 早坂由美子
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳