私たちは、平和を擁護し、社会正義、人権、集団的責任、多様性尊重および全人的存在の原理に則り、人々がつながりを実感できる社会への変革と社会的包摂の実現をめざす専門職であり、多様な人々や組織と協働することを言明する組織です。

1.保護の実施機関が行う「公権力の行使」の外部委託化に反対します

生活保護は、憲法第25条による健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立の助長を目的としています。保護の実施機関は、法定受託事務として、被保護世帯の個別事情、個別需要を把握し、必要即応として保護の決定や必要な施策を行うこととされています。

また、自治事務として、自立支援に資する施策を行うこととされており、生活保護の目的からすれば、その事務の一部又は全部を委託することは、憲法第25条に規定する生存権の保障を形骸化させ、私たちの生活を脅かす恐れがあります。

このような状況の中、令和3年3月31日付け事務連絡「保護の実施機関における業務負担軽減に向けた方策について」が発出され、「現行制度で外部委託が困難な業務については、地方公共団体等の意見を踏まえつつ、外部委託を可能とすることについて検討し、令和3年度中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる」とされています。

私たちは、生活保護の本旨を踏まえ、公権力の行使又はそれに関連する業務の外部委託化に反対し、その他の方策によって、生活保護業務の負担軽減を図ることを求めます。

2.生活保護のケースワーカーの専門性の向上のための社会福祉士・精神保健福祉士の配置促進及び増員を求めます

人権と社会正義を原理とする私たちは、ソーシャルワーク実践の重要な担い手であり、貧困とこれに関わるさまざまな生活課題を抱えた被保護者のウェルビーイングの増進に向けて、エンパワメントを促すとともに、経済的自立のみならず、広く日常生活や社会生活で自立した生活が送れるように継続した支援を行うことができます。

新型コロナウイルス感染症の影響は拡大し続け、収束の目途が立たない中で、現在の生活保護のケースワーカーの増員なくして、生活保護の被保護世帯の増加とともに多様化・複合化する被保護者のニーズに対応し、自立の助長を目指すことは困難です。

そのため、私たちは、社会福祉士又は精神保健福祉士の有資格者の採用又は取得の促進などによるソーシャルワーク専門職の配置の促進及び生活保護のケースワーカーの増員を求めます。

2021年9月17日

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)

公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村 綾子
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口 百香
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良 昌徳