1 現行制度の見直しと現任ソーシャルワーカーの活用を優先すべきです。

子どもの虐待防止は喫緊の課題であり早急な体制整備が必要です。子どもの命を守る現場には新たな資格の制度化を待つ余裕はありません。先ずは国の緊急対策である児童福祉司の大幅な増員に直ちに取り組み、また同時にその質の担保を図るべきです。それには既存の専門職である社会福祉士及び精神保健福祉士を活用し、子ども家庭分野の福祉・心理・法律に関するより専門的な研修を実施することにより、システムを整備していくことが有効です。

2 子ども虐待を社会全体の問題として捉えるソーシャルワークの視点が必要です。

子ども虐待は複雑な背景を持ち、家庭の内外に生じる様々な課題に対し適切な支援が行われなかった結果生じている現象です。虐待を親や養育者の個人的な資質に帰すのではなく、その背景にある複合的な課題への視点が必要です。そのような視点とスキルを有したソーシャルワーカーである社会福祉士及び精神保健福祉士を積極的に活用することが、現在の社会問題の中でもっとも悲惨な子ども虐待への対応として即応性があります。

3 子ども虐待を未然に防ぐためには、虐待をさせない環境作りが最重要課題です。

虐待させない環境を作ることは、子どもの健やかな育ちと親の成長を支援する仕組みや地域の支え合いの強化など社会全体が取り組む課題です。また児童相談所だけが虐待対応するわけではなく、地域の資源をつなげていく、地域のネットワークを強化していく連携力が求められます。これこそ地域を基盤としたソーシャルワークを展開してきた社会福祉士及び精神保健福祉士が長年培ってきた強みです。

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)は、会員団体においてまた相互に連携し、社会福祉士及び精神保健福祉士の子ども虐待にかかる専門性の向上に努め、虐待をさせない環境作り(予防的介入)の方策を提示し、機動力をもって実現させていく所存です。

2020年1月23日

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)

公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠
公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島 善久
公益社団法人日本医療社会福祉協会 会長 早坂由美子
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本 民夫

[PDF]日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)は子どもの虐待を防ぎ安心して子育てができる環境を重要視し「子ども家庭福祉士(仮称)」の創設に反対します