私たちは、平和を擁護し、社会正義、人権、集団的責任、多様性尊重および全人的存在の原理に則り、人々がつながりを実感できる社会への変革と社会的包摂の実現をめざす専門職であり、多様な人々や組織と協働することを言明する組織です。

私たちは、2020年8月21日付にて、「『黒い雨』訴訟判決の控訴に対する声明」を発出し、控訴に対して反対の意思を表明するとともに、終戦75年の節目を迎え、大雨地域の線引きを乗り越えて、現に健康被害がある方の1日も早い救済を強く求めたところであります。

2021年7月26日、国は、広島高等裁判所での判決に対し、上告を断念し、被爆者健康手帳を交付すると述べるとともに、翌日に閣議決定された内閣総理大臣談話では、国の責任において援護するとの被爆者援護法の理念に立ち返って、その救済を優先する姿勢を示しています。こうした国の姿勢に対しては一定の評価するところであります。

一方で、この談話では、判決における「内部被曝の健康影響」について、政府として容認できないとしており、そのうえで、「84名の原告の皆様と同じような事情にあった方々については、訴訟への参加・不参加にかかわらず、認定し救済できるよう、早急に対応を検討します」と述べています。

原爆の放射線で健康被害が生じる可能性が否定できない限り被爆者として認めるべきであり、現に健康被害にある人々の人権を擁護し、社会正義の実現が図られるよう、早急に誰もが理解し、納得することができる救済措置を設けるとともに必要な財源措置を図ることを要望します。

2021年8月10日

日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)

公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島善久
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子
公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 野口百香
特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良昌徳